学部長あいさつ

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学部長あいさつ

国際教養学部で学ぶみなさんへ

小川 秀司学部長

国際教養学部長
小川 秀司

中京大学の国際教養学部は2008年に設立され、2019年に最後の学生が入学した後、2020年には学生募集を停止しました。現在は多くの学生が既に大学を卒業した状態になっています。思い起こせば学部設立時には様々な分野で「グローバル化(グローバリゼーション)」という言葉をよく耳にしました。グローバル化する世界で活躍できる人材を育成しよう。そんな必要性が声高に叫ばれていたように記憶しています。ところがその後当時は予期していなかった様々な出来事が起こりました。新型コロナウイルスの世界的流行やロシアによるウクライナへの侵攻は、大学に入学した時点では皆さんも想像すらしていなかったことでしょう。あるいは香港における民主化運動の弾圧やミャンマー国軍のクーデターなども。「私の大学生活がこんな時代と重なってしまうなんて」という思いがあるかもしれません。あるいは「この言語を選んで良かったのか」と自信がなくなったり、自動翻訳機やAIの急速な発展を見るにつけ「あんな苦労をしてまで外国語を身につけた甲斐はあるのか」と感じている人さえいるかもしれません。では中京大学の国際教養学部で学ぶという選択は当てが外れたのでしょうか。いいえ、そんなことは決してありません。このような時代にあっても、いや、このような時代になってきたからこそ、あなたが身につけた言語能力と相手の文化や歴史に対する理解に基づいたコミュニケーション能力は、世界の国々を結ぶ大切な懸け橋となるに違いありません。この数年の世界情勢を鑑みると、立場や考え方が異なる相手との対話や交渉を粘り強く続けていくことはますます重要になってきたからです。また、外国語と異文化を学んでいく過程であなたが感じたことは、今後さらに別の文化圏の人々とつきあっていく時にも生かせるでしょう。

実は私も大学には5年間(留学したわけでもなく)在籍しました。しかし今から思えば、大学院進学前に理学部で過ごした5年目は決して無駄ではなく、むしろ貴重な1年でした。資格を取るために美術館や神社仏閣を見てまわり、アルバイトをして貯めたお金で中米やアジアの国々を旅しました。スペイン語やタイ語はおろか英語さえも拙い状態ながら、楽しく大切な体験をしました。私と比べて国際教養学部の皆さんは英語に加えて自分の選択言語を学んでおり、たとえ現地には行けなくてもSNSなどを通じて様々な人と会話できる環境に今生きています。あなたにとってこの1年が有意義なものになるように応援します。

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