学部長あいさつ

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学部長あいさつ

国際教養学部で学ぶみなさんへ:双方向のコミュニケーションをめざそう

張 勤 教授

国際教養学部長
張 勤

国際教養学部は、多元的な世界理解にもとづいて、多様な国、地域と人々との相互理解と交流に寄与する人材の育成を目標としています。そのために、国際教養学部では、外国語の運用能力を育てるとともに、各地域の文化へ理解を深め、現代社会の諸問題の性質を認識し、対処できる力を育てる教育を行っています。

ところで、多元文化への理解にもとづいて多様化された国際社会において相互理解と交流を促進する役割を果たせるコミュニケーション能力が育つのには何が必要でしょうか。もちろんまずは、相手との意思疎通を行うためのツールとしてのさまざまな外国語を運用する力、そして相手が持つ文化背景、また相手が所属する社会的な集団に関わる歴史・文化・社会的な事情への理解です。しかしこれらでコミュニケーション能力が育つかというと、答えはノーです。なぜなら、コミュニケーションは一方通行的なものではなく、相手との間で双方向的に行われるものなので、相手のことばを習い、相手に関わる事情を理解しておくのは、相手へのアプローチの準備ができただけであって、相手に自分からのアプローチへ応じてもらい、さらに相手に自分へのアプローチもしてもらうように手助けする準備がまだできていないからです。

お辞儀する習慣を持つ集団の人と、握手する習慣を持つ集団の人が出会った場合で、スムーズにあいさつを交わすためなら、どちらかに合わせたほうが合理的になるのでしょうが、異なる歴史・文化・社会的な背景を持つ集団の者が、共同プロジェクトを進めたり、何かの問題解決に取り組んだりするような場合は、そう単純にはならなくなります。自分から相手に合わせることも必要となりますし、逆も必要です。もう少し言い換えると、こちらが進んで相手のことばを習い、相手の属する集団の文化や社会的な背景を理解した上、積極的にコミュニケーションをとっていくだけでなく、相手もこちらのことばを習い、こちらの属する集団の背景を理解してくれて、こちらにも積極的にコミュニケーションをとってくることで、初めて十分なコミュニケーションが成り立ちます。

このような十分なコミュニケーションはどのようにして可能になるのでしょうか。逆説的になりますが、単に相手に合わせていくのではなく、自分の所属する集団の属性をも積極的に相手に示すことから始まるのです。そのためには、まず自分と自分の属する集団のアイデンティティを確認し、自分、また自分の所属する集団の属性を認識しておく必要があることは言うまでもありません。

多元文化への理解にもとづいて多様化された国際社会において相互理解と交流を促進する役割を果たせるコミュニケーション能力が育つためには、相手との意思疎通を行うためのツールとしてのさまざまな外国語を運用する力、そして相手が所属する社会的集団に関わる歴史・文化・社会的な事情への理解だけでは足りません。自分と自分の所属する集団をよく見つめ、自分の所属する集団の歴史・文化・社会的な事情をよく理解し、それを相手に伝え、相手に自分を理解してもらう力も得るように学習目標を立てなければなりません。

これは国際教養学部の究極の教育目標となりましょう。

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